当店のふく料理について当店のふく料理について

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刺身

刺身

ふぐは他の魚と違い、活きている内に刺身にはしません。三枚におろしたふぐを約1~2日寝かせます。上身としたものをさらしに包み、余分な水分をとった後に刺身にします。
刺身の作り方は一枚引きと二枚引きとありますが、当店は二枚引きにてお出ししております。一枚引きは一度で薄く長く切り、菊の花の様に盛り付けます。
二枚引きは一度切ったものにもう一度包丁を入れて開き、一枚引きに比べ幅の広いものとなります。盛り付けるとぼたんの花の様になります。
一枚引きの良さは生ものをあつかう以上、一度の作業で作るという「早さ」にありますが、あまり薄く切ると食べて物足りなさを感じますし、しかもポン酢の味が勝ち過ぎます。
また、厚く切ると身が固い故に口の中でポン酢の味が先になくなり、ふぐの身の生臭みが残ることになってしまいます。
一枚引きの物足りなさとポン酢との調和を補ったのが「二枚引き」の技術と言えます。

ちり鍋

具材の野菜類は白菜、春菊、豆腐、それに焼きもちで、椎茸、えのき茸等の茸類、探葱等は味が強すぎるので入れません。
これもふぐの持つ淡白で深い味を大事にしてのことで、ちりを食べた後の雑炊はふぐの味を生かしたものとなります。

唐揚

あらをあらかじめ、酒、淡口醤油、味醂で味付けし、小麦粉をつけ揚げます。ふぐが淡白なだけ、ふぐの持ち味を殺さないような味付けと掲げ方に気をつけています。

ポン酢

ポン酢の名はオランダ語のポンス(PONS)=柑橘(カンキツ)類の果汁酢から来たもので、果汁と醤油を合わせたものをポンス醤油と言い、最近では「ポン酢」と呼んでいます。
当店のポン酢は橙のしぼり汁に数種の醤油をしぼり汁のすっぱさ、甘さに合わせ割合を変え、調合いたしております。橙がない時期はかぼす、レモン等を代用しています。

薬味

葱…「鴨頭葱」と書き、品種的には葉ネギである九条ネギ系で一般に小葱と呼ばれているもののうち、葉の緑色が濃く、茎の白い部分が細く、短く、全体の勢いがよく葉先がピンと張った最高級品を使用しています。香りは他の葱に比べあまり強くありませんが、風味良くふく料理にはかかせない薬味です。
赤おろし…干した赤唐辛子(鷹の爪)の種を抜き、大根に穴をあけ、つめ込み、おろしがねでおろしたものを使用しています。

ふぐのお話あれこれ

大味必淡

古くから伝わる中国の言葉で、「本当に美味しいものは淡白である。」と言う意味で、この言葉は日本における数多くある食材の中でもふぐを表わすに最適の言葉と言えましょう。古来、毒の知識がなかった時代でさえ、ふぐの深い味わいは、人々をとりこにして来ました。今日では毒の解明もすすみ、毒を有する部位を完全に除き、安全な食材とし、安心して賞味頂けます。
河豚のうまさというものは実に断然たるものだ、と私は言い切る。これを他に比せんとしても、これに優る何物をも発見し得ないからだ。河豚のうまさというものは、明石鯛がうまいの、ビフテキがうまいのという問題とはてんで問題が違う、調子の高い海鼠やこのわたを持ってきても駄目だ。すっぽんはどうだと言ってみても問題が違う。フランスの鴨の肝だろうが、蝸牛(かたつむり)だろうが、比較にならない。(北大路魯山人著書「料理王国」より)

ふぐの歴史

ふぐの歴史

平安時代に著された「和名類聚抄」には「布久」の名があり、縄文時代の遺跡の貝塚からはふぐの骨が出土し、ふぐは古くから食されていたことが推測されます。ふぐの毒の知識は余りなく、中毒による死亡者も多かったようで、豊臣秀吉のころわが国最初のふぐ食の取締り河豚食用禁止令)が「文禄慶長の役」(一五九二~一五九八)の際出されました。
江戸時代に入るとみそ汁の具にふぐを用いたフク汁(ふくとう汁又はふくと汁)が身分を問わずもてはやされるようになり、同時代における代表的なふぐ料理となったと思われます。
一方、ふぐ人気が高まるにつれ中毒による死亡者も多く各藩はそれぞれ「河豚食用禁止の掟」を設けるようになりました。明治には「河豚を食う者は拘留科料に処する」という一項目を盛り込んだ「違警罪即決令」(今日の軽犯罪法にあたる)を発布し、ふぐの食用を全国的に禁止しました。
明治21年に山口県で最初にふぐは解禁され全国に広まり今日に至っている。ふぐは鍋料理として発展し、歴史も古く、このことで一年中獲れるにもかかわらず、他の魚には考えられない程冬だけのものと思い込まれ、他の季節には敬遠されて来ました。実際、刺身として一般に食するようになったのは昭和も三十年代になっての ことで、近年では鍋料理よりも刺身の方が好まれるようになり、夏の食材としても、見直されて来ました。

ふぐの呼び名

漢字の「河豚」は中国揚子江や黄河に生息するメフグに由来します。このふぐは東シナ海や南シナ海にも生息していますが、揚子江の洞庭湖付近では古来美味な河魚として賞味されていました。中国では美味なものの代表である豚の名がこの河魚に結びついた、あるいはふぐが丸々していて、豚に似ているので「河豚」になったと言われています。
日本では大阪はテッボウ(略してテツ)、これは昔のテッポウはなかなか当たらないけれど、当たれば死ぬの意からで、他にも千葉県銚子では富クジからトミ、長崎県島原ではガンバ、棺の意で、どれも毒を意識しての呼び名です。一般に呼ばれる名としては、トラフグとカラスはよく似ていて、見分けがつけにくく、違いは尿びれの色でトラフグは白く、カラスは黒い、そこでトラフグをシロ、カラスをクロと呼び、他には体にトゲのないマフグをナメラとも呼びます。

ふぐの種類と漁場

世界で100種以上あり、分布の中心は熱帯、亜熱帯等の暖海で、寒海には極めて少なくなっています。東シナ海、黄海、日本近海はふぐの宝庫で、日本近海には50種以上が分布し、うち食用とするのは18種程度で、主なものはトラフグ、カラス、マフグ、シマフグで、他にヒガンフグ、ショウサイフグ、クサフグ、シロサバフグ、カナフグ等があります。
漁は瀬戸内海や日本近海の外海で行っていましたが、時代が移り、海の汚染等で日本近海のふぐの数が減るにつれ、少しずつ対馬沖や黄海にまで出かけるようになりました。昭和四十年に日韓漁業協定が締結され、対馬、済州島沖の漁場が解放され、以後東シナ海、黄海にも出漁できるようになり、今日では東シナ海、黄海が主な漁場となり、ふぐ漁獲の大半を占めています。

ふぐの特徴と特性

腹を膨らましたり、目を閉じる、埋没、咬み合い(闘争)、おう吐、発音など変わった習性があります。又、普通の魚には内臓を守るために腹部に肋骨がありますが、ふぐには全くなく、また筋肉間の小骨もないので肉の歩留まりが良いという特徴があります。

ふぐの毒

ふぐの毒はテトロドトキシンといい、毒性は青酸カリの約1,000倍あります。ふぐの種類によっては無毒のものもあり、有毒のものにも毒を含む部位に違いがあります。 又、その毒性は個体差、地域差、季節差があり、毒力、毒量に違いもあります。
中毒症状は徴頭、徹徴麻痺をきたします。まず口唇、舌端の純麻に始まり、運動、知覚などの麻痺をきたし、末梢血管の拡張により血圧が降下し、麻痺による呼吸困難を生じ、意識は死の直前まで正常ですが、遂にこれも消失して、その後呼吸中枢の完全麻痺による呼吸停止が死に至らしめます。

トラフグ

フグ目、フグ亜目、フグ科、トラフグ属、トラフグ。ホンフグ、シロとも呼ばれ、数あるふぐの中でも、味は群を抜いており、最高級のふぐとして賞味され、まさにふぐ類の王様と言えます。沿岸のやや急流域で、底質が荒砂のところに産卵、約十日でふ化します。年末まで生まれた所で生活した後、外海へ出ていきます。満一年 で25cm、二年で35cm、三年で42cmぐらいになり、普通は満三年から産卵します。なかには70cm以上、10kg以上の10年以上経っているものもいますが、トラフグの中でも味、身質共最高のものは2kg前後、三年前後のものである。日本近海の主な産卵場は有明海、瀬戸内海、伊勢湾で、漁場は大分と四国の間、豊後水道あたりがよい漁場でしたが、近年は東シナ海、黄海の漁場が開発され、主な漁場となっています。最近は、養殖も盛んに行われている他、韓国、中国から多量に輸入されています。
毒は、身や皮、白子(精巣)、ひれには含まれず、内臓なかでも卵巣、肝臓などに含まれ、有毒率は周年で36%程度で、10~11月は無毒又弱毒程度に留まりますが、12月になると急に有毒のものが多くなり、産卵期の卵巣は毒力、毒量とも強くなります。

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